熱力学忘備録②

大学で学んだ事のおさらい。自分でわかる用に言い回しを超簡潔にしている為、専門家が見たら怒る事間違いなし。でも忘備録だから。

分子運動論
気体や固体や液体の性質をそれらを構成する分子の運動から説明する事。

分子は互いに電磁気的な斥力や引力を働かせている(分子間力)。離れれば引力、近づけば斥力。
以下蛇足。

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分子間力とそのポテンシャルの例。
レナード-ジョーンズ・ポテンシャル
2つの原子の間の相互作用ポテンシャルエネルギーを表す経験的なモデル。分子動力学とかでよく使われる。一般式は

U(r) = 4\epsilon \left[ \left(\frac{\sigma}{r}\right)^{p} - \left(\frac{\sigma}{r}\right)^{q} \right]
rは原子間の距離、p,qは経験的に決められるもので、代表的なのは12と6。

U(r) = 4\epsilon \left[ \left(\frac{\sigma}{r}\right)^{12} - \left(\frac{\sigma}{r}\right)^{6} \right]
更にフィッティングパラメータεとσを決めて、rによって変化するポテンシャル曲線が描かれる。


分子間力自体は
\begin{align*}
F=-\frac{\partial U(r)}{\partial r}
\end{align*}
で求められる(Fは斥力の時正、引力の時負)。ポテンシャル曲線の傾きが正の部分ではFが負の値となるから引力、曲線の傾きが負の時は斥力となる。実際には原子同士が近接すると斥力が働く。
&&&&

固体は一般に結晶構造を取っているが、これを分子と分子がばねで結合されたようなものだと考える事ができる。分子は格子点を中心にばねが伸びる範囲で振動運動しており、この振動エネルギーから固体の温度が求まる(この振動を熱振動と言う)。
イメージ?笑

温度が上がる(=振動が激しくなる=内部エネルギーが高まる)と結晶構造が維持できずに液化。これが融解。固体から液体への相変化。

この相変化に使われる熱が融解熱。相変化の間、熱を物質に供給し続けても温度は上がらない。代わりに内部エネルギー(=物質を構成する粒子の微視的エネルギー)が上昇する。

全て液体になったら、熱は温度上昇に再び用いられる。液体温度が沸点に達してからは、再び気体へと相変化する為の気化熱として用いられる。(温度は上がらない)

理想気体の状態方程式
\begin{align*}
pV=nR_0 T
\end{align*}
で良く知られる上式も、気体を対象とした分子運動論、その名も「気体分子運動論」(わかりやすいネーミング!)で導くことができる。


まず、一辺の長さLの立方体内の気体を考える。その中ではたくさんの気体分子(ここではN個とする)がランダムに直進運動をしているとする。
ある瞬間での分子の速度を\begin{align*}
V_i
\end{align*}(x,y,z方向成分は、\begin{align*}
u_i, v_i, w_i
\end{align*})とすると、
\begin{align*}
V_i^2=u_i^2+v_i^2+w_i^2
\end{align*}
今x方向成分の気体分子の運動のみを上図で考える。
右側の壁に気体分子が完全弾性衝突(ぶつかるもの同士の相対速度が衝突の前後で変わらない)して跳ね返るとき、分子の運動量は\begin{align*}
mu_i
\end{align*}から\begin{align*}
-mu_i
\end{align*}まで変化する。このとき壁が受ける力積(力×時間)F・Δtは\begin{align*}
2mu_i
\end{align*}となる。
1秒間あたりに分子が壁に何回あたるか?
一辺の長さLの立方体であるから、一往復で2L。
よって1秒間あたり\begin{align*}
2L/u_i
\end{align*}回。このことから、1秒あたりに壁に及ぼす力積は、x方向だけで考えると、
F_x\cdot \Delta t=2mu_i \times u_i/2L \times \Delta t=mu^2_i /L \times \Delta t 
よって、微小時間当たり(=Δt)に壁に与えられる力は、上の式をΔtで割ることによって求められる。
F_x =2mu_i \times u_i/2L \times =mu^2_i /L



…と、自分の解釈で説明してみたものの、力と力積と時間平均とで説明が上手くできていない気がする。。

他にうまく説明できる方がいてくれたら、コメントして頂けると助かります。

※因みに機械学会の教科書では、Δtの扱いが省略されており、いつの間にか消えている。


分子がN個あったとすると、壁に与えられる力はN倍。
圧力は力/面積で求まるので、x方向の壁面にかかる圧力は
\begin{align*}
p_x = \frac{1}{L^2} \sum_{i=1}^N \frac{mu_i^2}{L}= \frac{1}{L^3}\sum_{i=1}^N mu_i^2
\end{align*}

ここで、分子の運動は完全にランダムで、分子の数が非常に多いとき、x方向もy方向もz方向も全ての分子の運動エネルギーの総和が等しいと考える。つまり、
\begin{align*}
\sum_{i=1}^N \frac{1}{2}mu_i^2 =\sum_{i=1}^N \frac{1}{2}mv_i^2 =\sum_{i=1}^N \frac{1}{2}mw_i^2
\end{align*}
1/2を消去して
\begin{align*}
\sum_{i=1}^N mu_i^2 =\sum_{i=1}^N mv_i^2 =\sum_{i=1}^N mw_i^2
\end{align*}
今、\begin{align*}
V_i^2=u_i^2+v_i^2+w_i^2
\end{align*}が成り立っているので、
\begin{align*}
\sum_{i=1}^N mV_i^2=\sum_{i=1}^N mu_i^2 +\sum_{i=1}^N mv_i^2 +\sum_{i=1}^N mw_i^2
\end{align*}
右辺のそれぞれの項は等しいため、たとえば
\begin{align*}
\sum_{i=1}^N mV_i^2=\sum_{i=1}^N 3mu_i^2
\end{align*}
が成り立つ
\begin{align*}
v_i
\end{align*},\begin{align*}
w_i
\end{align*}にも同じことが言えるので、結局以下の式が成り立つ。
\begin{align*}
\sum_{i=1}^N mu_i^2 =\sum_{i=1}^N mv_i^2 =\sum_{i=1}^N mw_i^2=\frac{1}{3}\sum_{i=1}^N mV_i^2 =\frac{1}{3}mN(\frac{1}{N}\sum_{i=1}^NV_i^2)=\frac{1}{3}Nm \overline{V}^2
\end{align*}
上式では二乗平均速度として
\begin{align*}
\overline{V}^2=\frac{1}{N}\sum_{i=1}^NV_i^2
\end{align*}
を用いている。
\begin{align*}
p_x = \frac{1}{L^2} \sum_{i=1}^N \frac{mu_i^2}{L}= \frac{1}{L^3}\sum_{i=1}^N mu_i^2
\end{align*}
より
\begin{align*}
p=p_x=p_y=p_z=\frac{Nm\overline{V}^2}{3L^3}=\frac{Nm\overline{V}^2}{3V}
\end{align*}
となり、圧力が求まる。分子1個の速度の二乗は、平均的な値として二乗平均速度を用いる。よって分子1個当たりの運動エネルギーは、
\begin{align*}
e_k=\frac{1}{2}m\overline{V}^2
\end{align*}
と考える事ができる。よって、理想気体の状態方程式\begin{align*}
pV=nR_0 T
\end{align*}は、
\begin{align*}
pV=\frac{Nm\overline{V}^2}{3}=\frac{2}{3}N(\frac{1}{2}m\overline{V}^2)=\frac{2}{3}Ne_k
\end{align*}
となる。
1mol当たりの分子数(アボガドロ数)を\begin{align*}
N_A
\end{align*}とする。容器内の分子の数はNより、モル数は\begin{align*}
n=N/N_A\mathrm{(mol)}
\end{align*}となる。よって、気体のモル数がわかっていれば、\begin{align*}
N=nN_A
\end{align*}で気体の分子の数が求められる。




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